遠藤氏は、業績が悪くて人気がなく、閑散として売り込まれているものの、含み資産があり、倒産の心配がないという感じの銘柄に集中的に投資して、人気が出ると売り抜けるという逆張りの投資を得意とされ、仕手筋や証券マントの情報などには頼らず、ひたすら地味に有価証券報告書を読み込み、含み資産などを調査されて銘柄を選定して、株式投資だけで、一財産を築かれた感じです。
遠藤氏以上に、個人の大株主として、『会社四季報』に名を連ねる竹田和平氏は、実業家であり、もともと資金量が豊富なようですが、それに対して、遠藤氏は、商業高校を卒業後、一介の地味なサラリーマンとして金融機関に勤め、そのサラリーを種銭にして、30億円を超える資産を築いたという点が注目に値します。
投資手法は単純明快であり、複雑難解なテクニカル分析などとは無縁であり、派手さはなく、堅実であり、華やかな仕手株投機の世界とも無縁であり、個人の長期投資家として異彩を放っている感じです。
株数を集めることに執着され、印象に残っているのは、シキボウの大株主になっておられたくだりなんですが、その後、シキボウは人気が出る前に、遠藤氏は手放されてしまったようではあります。
最近では、ジャニス工業やエスバイエルの大株主として、名を出しておられ、一時、含み損も大きくなっていたようではありますが、見事に売り抜けに成功されたようです。
この本との出会いは、ちょっと立ち寄った出先の図書館で、本のタイトルと言い、見た目と言い、出版社と言い、どこか洗練されておらず、いわゆる三流の自費出版本の類かと思って、とりあえず手にとってみた感じだったのですが、ちょっと読むと、これは本物ではないかと、夢中になって読み終えた本です。
その後、何度か本屋でお目にかかったりしたものの、結局、購入することなく、今日に至ったり、遠藤氏の投資手法を真似ることはなかったものの、非常に感銘を受けた感じだとつくづく思い返されます。